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ひとり

若い頃から「孤独」は大嫌いだった。
そんな寂しがりやの自分の弱さが、一番キライなのも僕自身だったのだ。
あるきっかけで、僕は孤独を克服しようと思い立った。
ひとりを楽しむことは出来ないかと・・・

僕にとっての山は、そういう場でもあるのだ。
だから、僕の山行は単独行が多いのだ。

ワイワイガヤガヤ登るのが、楽しくないわけでは決してない。
でも、あの静寂に包まれた山道の風景を、肌で感じながら登るのがもっと好きだ。
集団で登っていると、今どこを登っているのかさえ、わからなくなる時が多い。


道迷いは集団の方が多いと僕は思う。
一度あったんです。
集団で、ルート判断に迷った時が・・・。
僕は左のルートに自信があった。 リーダー格の方は右ルートだと・・。
僕には自分の「確信」が伝えられなかった。
たいした山ではなかったが、ずいぶんと大回りをしたのだ。
僕自身も、連れて行ってもらう山だと、地図も持たずルートも調べず、行列に着いて行っただけの状態だったから、自分が一番悪いのだ。 反省・・・。

いっぽう単独行は・・頼れるのは自分だけ。
自分の判断ひとつが時にとんでもない結果をもたらす。
自分の能力や五感を全開で生かしてする判断は、お互いが頼りあってしまう集団での登山とは比較にならない。
もちろんアクシデント発生時には、「ひとり」は大きなウイークポイントになるのだが・・・。

それから、僕は登るという行為だけが好きなわけじゃない。
だから、何時間で登ったとか、足が強いとか・・・全然興味がない。
その場その場の景色や過ごす時間が好きなのだ。

今日は台高山脈の人知れぬ秘境(大げさか?(笑))野江股ノ頭をご紹介しよう。
江股の頭ともいうが、支稜でもあり訪れる人も極端に少ない。
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もっとも軽装とも言えるGOREツェルトに小型シェラフを担いで山頂付近で幕営。
まだ明るい内から、焚き火のそばで寝転ぶ至福の時間。
ジャックダニエルを谷の水で割って楽しむ。
誰ひとりいない深い山域、ときおり鹿の泣き声が響くだけ・・・。
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こんなひとりの時間が好きになったのは、自分が段々と変わってきたからだと思う。
ある面でいうと、ずいぶん強くなったのだと思う。
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疲れ切った体にウィスキーが回り、心地よい酔いが心をひらく。
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暗闇の夜がやってくる・・焚き火の明かりがゆらゆら揺れる。
他に何もない・・・いや? 遠く下界に一点の灯かりが・・・。
地図で調べると、宮川ダムの街灯のようだ。

ひとりぼっちの今の自分も、「今現在も、ちゃんと下界の人造の明かりとつながっている」という安心感。
「ここまで来ても、まだ人間の世界から抜け出せない」という物足りなさが、天秤に載せた様に上下している。

これが今の僕の・・・「ひ・と・り」なのだと・・・。

古儀
by yasu121928 | 2011-10-04 13:18 | Comments(0)
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